「ふはっ」
なにが面白いんだろう。
私なんかが賑やか女子たちに立ち向かって、そんなに面白いのかな…。
「わ、笑わないで…ほしい」
「ごめん。だってぜんぶぜんぶ、可愛くてたまんないから」
「……え…」
かわ、いい……?
可愛い…?
だれのことを言っているの?と首を傾けるまでもなく、結多くんの先には私しかいない。
「俺との絵を大切にしてくれてたこのみちゃんも、いつもそれ見てお守りみたいにして元気だしてたこのみちゃんも。…蟻さんなりに上を向いて歩いてるこのみちゃんが」
「っ…、ぅぅ…っ」
でも、なくしちゃったの。
どこを探しても見つからないから、もしかするとこんな私が嫌になって絵のほうが逃げて行っちゃったのかもしれない。
また溢れた涙を一生懸命拭っていると、結多くんはしゃがんだ。
「見て、このみちゃん」
地面の上、近くに転がっていた枝を手にする。
森を描くと、私のことを手招きして「クマ描いて」と言ってきた。