まるでそれは、かつて担任の先生に彼自身が食らわせられていた絞め技。
そのときは加減されている空気感があったが、今回ばかりはそうじゃなかった。
結多くん自身が地面に背中を付けてまでも、その男を絞め固めている。
「おまえ、なにする気だった?」
「なっ、なにって…っ、ツムギちゃんは僕のお嫁さんで僕はツムギちゃんの旦那なのだっ!!このまま家に連れ帰って衣装に着替えさせて僕だけのものに───いでええええーーー……っ!!
ごめんなさいごめんなさい…っ!もうしませんっ、しませんからあ…!」
男の目的を聞いたから以上に、結多くんから醸し出た冷たさがゾクリと私の背筋までをも凍りつかせた。
結多くんの普段にはない静かさが逆に、本気で怒っているんだと。
「ゆ、結多くん……、もう、この人たぶん、動けない…から」
伸びちゃってる。
ここから立ち上がって逃げることはできないだろうし、したとしてもまた結多くんに捕まってしまうだけ。