「ああ…、かわいい…、僕の天使、僕だけの天使…!」
それは私じゃない。
アニメキャラクターに異常なまでの愛着を寄せてしまっているんだと、すぐに分かった。
素朴な感じだし、大人しそうで、たしかに雰囲気は似ているかもしれないけれど。
天使と、そう呼ばれて嬉しいのも、そう呼んで欲しいのだって、ただひとりだけ。
「どうして逃げようとするんだよ」
「っ…」
力ずくでも逃れようとすれば、声を低くさせて眼差しを鋭くさせてきた。
どうしようどうしよう。
こわい、気持ち悪い、だれか助けて。
「ゆ、ゆいた……くん…」
「ゆうた?だだだ誰だそれはっ!!僕じゃない男のことを考えるなんて、まったくいつそんなビッチになったんだッ!!」
「やっ…、」
目が、もう目が正常ではなかった。
万引きだけでなくこのまま拉致をして監禁をして、そんなことを平気でやってのけてしまうんじゃないかって。
結多くん…っ、助けて……っ。
タタタタタタタ───ッ!!!