────そしてその日は、とつぜん訪れる。
「………ついて…きてる…」
どのくらい前からだったか。
電車に乗っているときは感じなかったから、駅を出たあたりだ。
住宅街に入ったときには確信していて、私が早歩きに変えれば後ろの存在も足早に追いかけてくる。
逆に速度を落としたならば、その人も合わせるように落とす。
くるっと振り返ると、そそくさ隠れるダウンジャケットとキャスケットは、どこかで見たような気が。
(ストーカー…?それとも不審者……?)
今日はアルバイトがない日。
穂乃花ちゃんといつもどおりの分かれ道で手を振った。
そのときも背後に違和感があって、ずっとずっと怖くて。
「っ、」
ぐっと足に力を入れて、家とは逆方向へ走る。
このまま家に向かって家の場所を知られるのも嫌だったし、どうにか撒けるなら撒きたかったから。
やっぱり前もそうだったんだ。
ずっとずっと視線と気配を感じていた。