せっかく温めた身体を雨に濡らしてまでも私のお迎えに来てくれたんだ。



「このみちゃん?」


「……ありがとう、結多くん」


「…ん。入りたまえ入りたまえ」



なんでもいいんじゃないかな、もう。

たとえ結多くんが伊藤さんにも同じことをしていたとしても、相手が穂乃花ちゃんだったとしても。


それが私の好きになった結多くんなら、結多くんなんだよ。


でも今は私のターンだよね。

今だけは結多くんを独り占めしてもいいのかなって、ここだけ欲張りになっちゃっても。


ここだけ、ここだけだから。



「バイト、どう?」


「…楽しいよ。先輩も優しくしてくれて、みんなに支えられてるかな」


「…そっかそっか」



やっぱり少しだけ静かになっちゃったね、結多くん。

私が他の男の子のことを良く言っても納得しちゃう。


坂口くんにしたみたいに問い詰めようとしないし、谷さんは「すごい剣幕」とは言っていたけれど、ぜんぜん結多くんじゃないの。