「ちょっとちょっとティーチャー?伊藤のプリントが足りないんですけれどもー。とうとうやったな、このクラスの法律破りやがったな」


「まじか、悪い。1枚でいいか?」



席を立ち上がった結多くん。

先生が立つ教卓の前までやってきて、1枚のプリントを手にしてまた戻ってゆく。


そして「はい、どーぞ」と、伊藤さんに笑いかけた。



「ありがとう…、結多くん」


「いーえ」



なんだろう……、かつての私と結多くんを客観視しているみたい。

クラスメイトたちにはああ見えてたんだろうなって、やっと今になって実感するとは。


やっぱりあれが結多だよね───、


私以外の人間たちはそう思っているのか、とくに気にかけることもなく。

そして私も、やっぱりそうなんだ…と、ズキズキ痛む気持ちごと頑張って納得。