と、腕についたカサブタをなぜか見せてくる結多くん。

笑う声とは裏腹に、街灯に照らされた表情は切ない。



「結多くん…、いつも……朝と放課後、なにかしてるの?」


「うん?俺?」


「すごく…忙しそうにしてる、から…」



部活には入っていないはずだから、そうではないはずで。


でも、そのカサブタ。

肘にできているそれは、なにかに擦ったような傷痕だった。



「……ひみつー」



初めて作られた、秘密。

ズキリと心臓に重みがのし掛かる。


私にはなんでも話してくれるって、隠し事なんかしないって、また自惚れちゃってたんだねこのみ。



「…俺だってそこまで強くねーよ」



つぶやくように、ポツリ。

でも私にはそこまで気になるものじゃなかった。


隠し事をされたことが、思っていたよりずっとずっと悲しかったから。