「アルバイトでも“仕事が丁寧だね”って言ってもらえてね。それだけですごく嬉しくて…、その感覚は“仕方ない”で諦めてたら味わえなかったもので……、だから、だからね、」



顔を上げてから、ハッとする。


だって結多くん、必死に言葉を紡ごうとしている私を待ってくれている顔をしていたから。


大丈夫、ちゃんと聞いてるよって。

ゆっくりでいい。
ちゃんと伝わってるから、って。


結多くんのそんな優しさに、私はきっと今まで、自覚していないなかでも何度も救われていたんだと思う。



「小さなことですぐ下を向いちゃう自分を……どうしても変えたかったの」



見上げれば、太陽がある。

地面を照らしてくれる光の先をじっと見つめているだけじゃなく、上を見ることで新しいものに気づけるかもしれない。


そんなふうに思わせてくれたのは、結多くん。