「たとえば欲しいものがあったり単純にお金を貯めたいってのも確かに正当な理由ではあるけどもですよ、うんうん。
でもこの時間って笑えないレベルで夜行性のクズ……おっと間違えた、欲まみれの野生動物がやっと起き出す時間なんだよこのみちゃん」


「……変わりたくて…」



このまま家まで送ってくれるつもりなのだろう結多くんの足取りは、私の動きに合わせるみたく止まった。



「あのね、私……今までぜんぶに“仕方ない”って思ってたんだ。仕方ないものは仕方ない、仕方ないから諦めるしかない、私にはできないから仕方ないよねって」



“結多くんみたいになりたい”


私にとってそれは大きなきっかけだったんだと思う。

クラスの女の子たちに気持ちを伝えられたのだって、お母さんに伝えられたのだって。


結多くんならこう言うんだろうな…って思ったことを、実行してみただけ。