「あ、ありがとう。ごめんね…待っててもらっちゃって」
「んーん。アルバイト頑張ってるこのみちゃんは大変すばらしくてたくましいと思うよ俺も。でもさ、やっぱ夜って危ないじゃん」
「…うん。お母さんにお迎え頼めるときはお願いするよ」
珍しく納得がいっていない様子の結多くん。
心配してくれることは嬉しいし、ありがたい。
けれど、初めてここまで静かな空気が流れ
たかもしれない。
「バイトかーー…、んー、とくに家計が厳しいとかではないなら、高校生は学業でじゅーぶんだとも思うけどねえ俺は」
「……うん」
すこし前にあんなことを女子トイレで聞いちゃったからかな…。
アイドルな先輩と1週間付き合って、すごい振り方をしたって。
それだけで結多くんの見方が変わるわけじゃない。
わけじゃないけれど、自分と比べてしまうから仕方ないの。