いっぱいいっぱいななか、なんとかサポートしてもらいつつ仕事の流れに慣れてきたかな…と、なった頃。
谷さんが目線を動かした先は、小規模に用意されたイートインスペースだった。
「なんか俺、刺されそうだわ」
「…………」
そこに………いる。
見慣れた制服姿の、見慣れた男子高校生がひとり。
「クラスメイト……かも、です」
「え、やっぱり?お茶1本で2時間近く座ってるからすげーなって」
「さすがにお店側としても困ります…よね…?ちょっと私、声かけてきてもいいですか…?」
「あ、うん。ぜんぜん」
ちょうど私が品出しをしているときに訪れたのかな…。
ほとんどレジに立っていた私にとって場所を離れたのはその1回きり。
「ゆ、結多くん…?」
「……たまたまだよ?本当に今日だけはたまたま寄ったらこのみちゃんを見つけちゃったの」
「うん」