「では来週の試合に向けて……ん?新しい顔がいるな」
部活ってこんな朝早いの?
いつ寝てるの皆さん。
朝からそんなに動いて、逆にアキレス腱とか切れねえ?
「入部希望か?」
「いや、ぼくは帰宅部のエースだけは譲れませんので」
柔道部、稽古場にて。
朝練が始まる手前、顧問でもあるティーチャーは胴着姿に混ざるジャージを見つけ、眉を寄せた。
「…おい、説明を頼む」
「えっと…、仮入部というよりは、部活体験を頼まれました」
本人に聞くよりは部長に聞いたほうが早い的なスタンス、マジよろしくねえよ俺だって本気なんだよ。
柔道に興味があるわけではないけど、あの恐怖の拘束技は俺も取得しておきたい。
なにかの役に立ちそうだ。
いざというとき、すげえ役に立ちそう。
「…夏休みの小学生に見えるけどな」
「…たぶんですけど、本人はラジオ体操感覚です」
「だろうな」
「あっ、ティーチャー。ここにスタンプ押してね、俺ちゃんとスタンプカード作ってきたから」
「…………」
首にかけたカード。
ふつーにすごくね?自作なんだぜコレ。
ちなみに俺は小学生のときも皆勤賞だったから。