生まれたままの姿でベッドに寄り添って寝転び、サーシャはいつまでもレオナルドの熱い胸にひっついていた。


「俺、ここに残った皆が飢餓に耐えられなくなって……」


レオナルドは何度も薄紅色の髪を梳いて、サーシャに優しく語り掛ける。


「望むなら、終わらせてやるつもり」


終わらせると遠回しな表現を取ったが、飢餓で苦しむなら命を絶ってあげるという意味だ。サーシャは耳を疑った。


「俺なら絶対、痛くしないから一瞬だ」


レオナルドは指先で風を操り、サーシャの髪を一房だけ靡かせてみせた。レオナルドが繊細に操る風魔法なら、確かに何の痛みもなく命は終わるのかもしれない。だが、王様の悲しい覚悟にサーシャは涙が噴き出した。


「俺がこの国に残る最後の一人になる。王様だからな」