サーシャはこの能力の一端を婚約者に見られたせいで、異端者として追放死刑に処されたばかりだ。さすがに相手の反応には過敏になる。


「ちゃんちゃらおかしいったらねぇなあ!異端者全員、カルラ国に移住して来て欲しいくらいだ。なあレオ?」

「そうだな。見たことない種類だが、お前のそれは魔法だろ」


団長がガハハと豪快に笑い、レオナルドがやや薄い美麗な唇でさっぱり言い切った。


「よその国ではもう滅びたかもしれないが、カルラ国ではいまだに魔法は健在だ」

「魔法を使う人間は、たしかに減ってはいるけどな!」


団長はサーシャの小さな手を無理やり取って握手した。自ら触って来るなんて、本当に気持ち悪くはないようだ。


「我らがカルラ国騎士団を救ってくれ、サーシャ」

「本当に私でいいんですか?」

「もちろん。俺たちを救ってくれた暁には」


団長は隣に立っているレオナルドにさっと視線を飛ばした。


「特別なお礼を約束する!このレオがな!」

「俺かよ。まあ俺か。やれよ、サーシャ」