ビシッと親指を上げたポーズを決めた親衛隊隊長セレナを親衛隊メンバーたちがはやし立てた。レオナルドは意見を静観しながら、マスクの中で唇をかみしめていた。
サーシャの言う通りだった。
誰もレオナルドに侵略など、望んでいなかった。
大きな力を持って生まれた意味は、他国を侵略するためではない。
そんな確信がレオナルドの胸を温かく満たしてくれた。国と共に滅ぶが潔しの意見が膨らむ中で、一人、妊婦の女性が立ち上がった。
「私は潔く死ねません」
彼女の真摯な声がホールに響く。
「これから生まれるこの子のために、私は、死ねません……!」