淡々と王様が示す国の行く先に、国民たちはどんどん静まり返っていた。領土侵略を選べば、他国の幸せを蹂躙する。それが本当に生き残る正しい道なのか、皆が頭を悩ませた。


静まり返るホールに、青白い顔のサーシャが立ち上がった。


サーシャの魔法が消えてしまった今、国の行き先は飢えでの滅亡だ。それでも、それでもサーシャはレオナルドに残酷な道を選ばせたくなかった。誰より早く声を上げる。


「レオさんに、そんな惨いことさせるのはイヤです!」


レオナルドは愛する彼女の意見に和んだが、サーシャには千人の国民の目が一気に向いた。まだカルラ国に来て日が浅い新参者のサーシャに向いた無言の圧に倒れそうだ。


だが、フラつくサーシャに続いて、ホールの反対側から高らかと一本の手が上がった。