あまりの神業魔法に、驚くルテの横で団長がサーシャの肩を叩いた。


「サーシャ、その力をぜひ、我らがカルラ騎士団に貸してくれ!」


団長が協力を要請しようと差し出した握手の手に、サーシャは戸惑って瞬きを増やした。胸の前で両手をぎゅっと組み合わせる。


「今さらこんなこと言うのは何ですが、気持ち悪くないですか?」

「何が?」


団長が首を傾げ、隣でレオナルドも同じように首を傾げた。

もう居場所がないサーシャは、求めてくれるなら団長の差し出した手を取りたかった。だが、触って怖がられるのも嫌だ。


「何にもないところからスープが出てくるなんてその……異端ですよね?」

「あー能力が使えると、隣の国では異端者とか呼ばれて、迫害の対象になるんだったな」