「でも私は悪いことしないって、小さい頃から知ってるでしょ?」

「信じられるわけないだろう。異端者め!」

「いやいや、アンタの方が私の財布からお金抜いて勝手に使ったりしたよ!婚約者だから大目に見てたけど、アンタの方が前科あるから!」


サーシャは婚約者の恋情につけこんで死刑を見逃してもらうという道くらいしか残っていなかった。なのに、すっかり余計なことを言って婚約者を貶めてしまった。サーシャはついぺろっと素直に思ったことを口に出してしまう。


「うるさい!気持ち悪いんだよ!この化け物!」


婚約者ルシテは厳めしく、両親の敵並みに恨みのこもった目でサーシャを睨み恫喝した。

目の前には猟銃を構えた男が5人、サーシャの背後には死の森が広がっている。


「銃で撃たれたくないなら、死の森へ走れ。それが俺にできる最後の情けだ」


サーシャが異端者だとわかってから、追放死刑まであっという間だった。