レオナルドはローブから一枚の小さな紙を取りだしてサーシャに見せた。
「何の紙切れですか?」
「風の便りって魔法をかけた紙で、俺が死んだら青く染まるようになってる」
風の便り、なんて遠くに情報が伝えられる素敵な魔法だ。
なのにそれがいつだって「死んだら」のために使われるのがこの国の悲しいところだ。サーシャはレオナルドが大事に握るまだ白い紙を見つめた。
「団長たち、大丈夫かな」
「大丈夫です。みんなこの紙が白いのを見て安心してますよ!」
サーシャが純粋に信じているのを見ると、レオナルドも安心できる。ここに一人でなくて良かったと心底安堵した。
サーシャを抱き締めて、レオナルドは胸の内をさらけ出す。不安と緊張でレオナルドは黙っていられなかった。そんなレオナルドの緊張をサーシャはひしひし感じていた。
「あいつらだったら、俺が他国に侵略に行くときもついて来てくれそう」