私は手に持った小さめの保冷バッグを差しだした。

「佳菜さん、大変なんじゃないかと思って、作ってきたんですけど」

拓馬の家は共働きらしくて二人とも家に帰るのが夜遅いそうだ。

佳菜さんは大学生で、単位に余裕があるから最近はずっと家にいる。

全ての家事と拓馬の看病を一人でしていて、見ていて心配になるのだ。

「えーありがとう、うれしい!」

「私が作ったので、味微妙だったら申し訳ないですけど…」