――え?

 それは突然の告白だった。ほんの少しも予想していなかった、彼の愛の告白だった。

「……今……なんて……」

 思いもよらない展開に、わたしは放心する。

 そんなわたしの耳元で、優しく囁く彼の声。

「ユリア、好きだよ。……いいんだよね? 君も、僕のことを好きだと思ってくれてるってことで」
「――っ」

 ――ドクン。

 鼓動が高鳴る。さっきよりも、もっと強く。

 わたしは彼を振り返り、ゆっくりと顔を上げた。
 いつの間にかわたしの身長を超えてしまった、彼の顔を――。

「そう……だったの?」

 わたしの口から漏れる、間の抜けた声。
 その問いに、彼はいつものような笑顔を見せる。

「そうだよ。君のことが好きじゃなかったら、毎日会いに来たりしないよ」
「そう……なの……?」
「そうだよ」
「……本当、に?」
「うん。本当に気付いてなかったの? 僕は、君が僕の気持ちを知ってるとばかり――」
「……そんな。だって……そんな素振り、少しも……」
「それ、君が言うの? 君の方こそ、僕を好きだなんて一度も言ったことないだろう?」
「それは……そうだけど……」

 あぁ……なんだ、そうか。そうだったのか。彼も……わたしを……。

「……あ」
 やだ。安心したら、涙が……。

「ちょ、ユリアどうしたの⁉ どこか痛い⁉ 僕が手を引っ張ったから」
 泣き出してしまったわたしに、途端に顔を蒼くする彼。

「ちが……違うの。だって……あんまり、びっくりして」
 わたしは泣きながら、それでも必死で笑顔を作って――。

「嬉し……泣きよ」
「――っ、ユリア!」