「――っ」
瞬間、わたしの心臓が再び跳ねる。
彼の笑顔――わたしに向けられる、彼の視線。
それがとても嬉しくて、あまりにも眩しくて……今にも溢れ出しそうな想いが、わたしの胸を締め付ける。
「ユリア? どうしたの? 僕、何か変なこと言ったかな?」
「な、なんでも……な……っ」
胸が熱くて、苦しくて、上手く言葉が出てこない。
彼はそんなわたしを不思議そうに見つめ、あっと声を上げる。
「そうだ! お礼!」
「……?」
「このジャムのお礼、ユリアにしなくちゃね!」
「――っ!」
そう言って、無邪気に笑う彼。
――うう、なんて素敵な笑顔なの。お礼なんて、してもらうつもりはなかった。ただ受け取ってもらえればそれだけで十分。そう、十分だ……と、思っていた。――けれど。
「ユリア、何か欲しいものはある?」
彼の透き通った瞳に、純粋な優しさに、欲が出てきてしまいそうになる。
ああ、どうしよう、嬉しい。本当に、嬉しい。
「え……っと」
どうしよう、欲しいもの。欲しいもの……。
本当に欲しいものなんて決まっている。彼が、わたしだけを見て、わたしだけを好きになってくれること。――けれど、そんなことは口が裂けても言えない。
だからわたしはよく考えて、決めた。
「今度……すぐにじゃなくていいから……あなたの都合のいいときで、いいから……」
「うん?」
「一日中、一緒に……いて……くれないかしら」
「……え?」
「あっ」
言ってしまって気が付いた。
これではまるで告白だ。彼のことが好きだと、言ってしまっているようなものだ。
わたしは慌てて、言い直す。
「べ、別に深い意味は! ほ、ほら、わたしたちって、いつもは長くても一、二時間しか一緒にいられな――じゃなくて、えっと……ほら、たまにはもっとお話したいな、とか……思って」
どうしよう。言えば言うほど空回りしてしまう。恥ずかしい。きっと呆れられてる。
わたしは今にも泣き出しそうになりながら、ちらと彼の様子をうかがった。
すると彼は驚いたような顔で、何かを考えているような素振りを見せる。