頬杖をついてニコニコと上機嫌な笑顔を向けてくる璃斗に、
少しだけ悔しさが込み上げる。
他人のペースに乗せられてはいけない。
いつものように冷静でいなくては……。
気を取り直して意識を会議に向けた由良だったが、
その真剣な横顔を、実は温かい気持ちで眺めていた璃斗。
(不思議だなぁ……)
ずっと見ているだけの、高嶺の花と呼ばれている女の子が今、隣に座っている。
そう思うと由良の全てを目に焼き付けておきたくて、つい見惚れてしまっていた。
そんな璃斗の秘めた気持ちを、現時点で気づけるはずのない由良は、
視線を感じる方に顔を向けてキッと睨む。
「璃斗くん、プリントを見て」
「あ、はい」
生徒会長であるにもかかわらず、ぼーっとしていたことを反省した。
しかし、副会長の璃斗もどこか抜けているところがありそう。
こんな二年生コンビでは、一年生の書記と会計が不安になってしまうはず。
申し訳ない思いを抱いた由良が、ため息をついて目の前に座る一年生二人に視線を向けると、
何故か幸せなオーラを纏いながら、由良と璃斗のやりとりを見守っていた。