無理矢理ヴァンパイアにしてしまったこと、璃斗に一生許されなくても。
 世界で一番憎いと言われて一生会えなくなったとしても――。

 生きてさえいてくれたら。
 ヴァンパイアの由良が璃斗を好きになったように、
 誰かの笑顔で幸せを感じられることもあるはずだから。


 初めての告白と後悔の念で感情も顔もぐちゃぐちゃの由良を前に、
 沈黙していた璃斗が突然、その体を腕の中に優しくおさめた。



「ッ⁉︎」
「嬉しいよ、由良ちゃんがそう思って俺を助けてくれたことも」
「え……」
「俺をヴァンパイアにしてくれたことも」



 普段よりも低い璃斗の声が耳元で囁かれて、ゾクリとした感覚が背中に走る。

 それにヴァンパイアにされたことを怒るどころか、
 嬉しいと言った璃斗の腕の中が温かくて、勘違いしてしまう。



「何で、怒らないの……?」
「何でって、決まってるじゃん」
 


 腕の力を弱めて由良の顔を覗き込んだ璃斗は、
 窓から差し込む夕陽をバックに、妖しく微笑む顔を徐々に近づけてきた。

 そして――。