(私が噛みついてから、確かに出血はおさまってきたけれど……)



 その後すぐに先生方が駆けつけてくれて、
 璃斗に対して応急処置をしながら救急車を呼んだ。

 慌ただしい中、意識のない璃斗が運ばれていったところは覚えている。

 血で汚れた制服のまま、その場に座り込みしばらく放心状態だった由良のことは、
 別の先生が宥めてくれていたことは、何となく記憶にある。



(でも、璃斗くんの容体のその後を、誰も教えてくれない……)



 自分の止血行為が間に合わなかったのか?と思うと後悔の念に苛まれた。

 きっとああいう時は迷っている暇なんてなくて、
 止血のためにすぐ噛み付くべきだったんだ。

 でも、意識のある璃斗にそんなことはやはり躊躇われるし、
 何より、もう一つの許されない真実が懸念点としてある。



(お母さんは言っていた。ヴァンパイアに噛みつかれた人間は……)



 強制的にヴァンパイアと化して残りの人生を生きることになる、と――。