大地全体が、高層ビルも家も木も人もお構いなしに激しく揺らした。
 そんな中、由良の肩をしっかり抱いて地震から守ろうとする璃斗が何度も声をかける。



「由良ちゃんっ平気?」
「揺れ、長いっ……!」
「大丈夫、大丈夫だよ」



 そのまま廊下に座り込んだ二人。
 そして由良の頭を守るようにして璃斗が覆い被さった。

 すると廊下の電気が消えてしまい、辺りは暗闇に包まれて更なる恐怖が二人を襲う。
 大きな横揺れが徐々に小さくなってきたのが、体感的にわかった瞬間。



 ガッシャーーン!


 ガラスのようなものが割れる音をすぐ隣に感じて、
 由良は思わず「きゃあ!」と悲鳴を上げた。

 しかし、その大きな音を最後に地震は完全におさまって辺りは静寂に包まれる。



「……止まっ、た?」



 璃斗に守られる体勢のまま呟いた由良が、
 固く閉ざしていた瞼を開いた。

 おそらく速報テロップが流れて全国ニュースになるくらいには、大きな地震。
 外の状況がわからないから、建物の崩壊や火災の被害がなければ良いのだけれど……。