(私は、両親のようにはならないって決めたのよ……)



 その誓いを思い出すと、少しだけ普段の冷静な自分を取り戻せた。

 程なくして、見回りしていた書記さん会計くんの一年生コンビが帰ってきて。
 生徒会室前で偶然合流した璃斗が背後に姿を現した。



「お帰りなさい」
「あ! 城之木先輩、戻ってたんですね」
「うん、少し前に。そっちは問題なかった?」
「はい、みんな学園祭を楽しんでいましたよ」



 由良と書記さんが業務連絡を交わしていると、
 何か話したいことがある素振りを見せる璃斗が、声をかけてくる。



「由良ちゃん、さっきは本当にごめん」
「いいえ、大丈夫」
「あ、その仕事は俺が代わりに……」



 そう言って由良が作業していた書類の整理に手を伸ばした時、
 露骨に距離をとって避ける由良に、璃斗の心が再び痛んだ。



「いい、私の仕事だから」
「でも……」
「いいってば!」



 つい普段よりも大きな声が出てしまう。
 しまったと思って由良が顔を上げると、
 やはり驚いた表情を浮かべる璃斗と一年生コンビ。