「そうそう、そんなわけないじゃん。サエも生徒会長困らせんなよー」
「ご、ごめん……」



 それでも気まずい空気は漂ったまま時間だけが過ぎるので、
 璃斗は仕方なく、うるさいミクと気まずそうにするサエをこの場から遠ざけることを選んだ。



「由良ちゃん、ちょっと抜けてもいいかな?」
「うん。私も残りの見回り終わったら生徒会室戻る」
「……ごめんね」



 そう言ってミクとサエを連れて中庭を出て行った璃斗。

 さっきまで楽しかったはずの気持ちが、今は由良に迷惑をかける心苦しさに支配される。
 同時に、この想いがやはり本人に届いていないことに落胆し、自信喪失に陥っていた。



(最近、仲良くなってきたように思っていたけど……)



 璃斗(自分)のことも、徐々に知ってもらっていると思っていた。
 でも、由良の中ではそんなことなかった。

 いつでも璃斗はただの同級生で、良く言えば友達。
 そして同じ生徒会の仲間である副会長に過ぎないんだと――。