「その点、俺となら気兼ねなく回れるだろうし、お目当ての出店にも立ち寄れるかなって」
「っ……璃斗くん」
「おせっかいだったらごめんだけど……」
そう言いながら眉を下げて照れ笑いする璃斗に向かって、由良は首を横に振る。
おせっかいなわけがない。
自分も楽しんで良いことを許されたようで、嬉しかったから――。
「ううん、ありがとう」
口角を上げて、またしても貴重な由良の笑顔を見ることができた璃斗は、
自分の行動が間違っていなかったことに安堵して、頬を染めながら微笑み返す。
(璃斗くんにはほんと、助けられてばかりだ)
どうしてこれほどまでに、優しく気遣い微笑みかけてくれるのか。
そう考えると、期待が膨らんで由良は鼓動を加速させた。
「由良ちゃんが食べたいのって何?」
「えっあ、えと……」
うろ覚えだった名称を確認するため、ポケットの中にある校内図を開く。
それはちょうど、一階の出店で販売していた。