「はう……城之木さん、今日もお美しい」
「女子の私たちから見ても憧れの存在よね」



 二人の女子生徒の会話は、
 鳴り止まない拍手によって他の人には聞こえない。
 また、そのすぐ近くに座る男子生徒の会話も同じく――。



「知ってるか? 城之木さんって笑うと八重歯が見えるらしいぞ」
「マジで? 想像しただけで可愛いんですけど」
「城之木さんのことを言うんだろうな、高嶺の花って」
「そうだよ、俺たちのような凡人がお近づきになれるわけないない」



 それでも、これから生徒会長として活動することになる由良の姿は、
 行事がある度にこうしてステージ上にて拝める機会も増えるわけで。

 由良のことを密かに応援しているファンにとっては、
 その凛々しい姿を目に焼き付けられる絶好のチャンス。

 そういう理由もあって、後期生徒会役員選挙で圧倒的票数を獲得した由良が
 みんなの思いを背負って生徒会長に任命された。