それから時が経ち、肌寒い十一月になった。
本日はいよいよ全校生徒が待ちに待った、静星学園の年に一度のお祭り。
静星祭が行われる。
この日のために準備を頑張ってきた、後期生徒会役員の四人。
開会式を終えた後に本部でそれぞれ役割を確認し、
左腕には生徒会の腕章を留めて準備が完了した。
「それじゃあ、見回り行きましょう」
一年生の書記さんと会計くんペア。
そして二年生の由良と璃斗ペアに分かれて、校内の見回りを開始した。
「由良ちゃん、俺たちは一階からだよね?」
「うん、下降りよう」
そんな会話をしながら階段を降りていく先輩らの背中を見送って、
書記さんがニヤニヤしながら会計くんに話しかける。
「見回りチーム編成、最初は私と城之木先輩の女子ペアだったのよ」
「え?」
「でもね、直前で有川先輩が変わってくれって」
「有川先輩が?」
「これがどういう意味かわかる?」
由良と璃斗が恋愛関係に発展することを望んでいる書記さんは、妄想が止まらない。
憶測ではあるけれど、
璃斗が見回りを口実に、由良と一緒に学園祭を回りたかったんだと確信していた。