(なんでこんなこと尋ねちゃったんだろう……)



 でも、なんとなくその答えは勘づいていて。
 ヴァンパイアの末裔である秘密を持つ自分と同じように、璃斗にも秘密があったなら。
 きっと、その意外性よりも似た者同士であることを嬉しく思う。



(璃斗くんとちゃんと友達になりたいってことなのかな……)



 でも、今のは突然過ぎたし本人も驚いているはず。
 そう思った由良がこの話はもう終わらせるべきだとして、息を吸った時。



「あるよ」
「え……」
「この前言っていた、俺の気になる子が誰か」
「っ⁉︎」
「それが今の秘密かな」



 どこからか吹いてきた風が、由良の髪を揺らした後。
 真剣な表情で返答した璃斗の髪も、控えめに靡かせて去っていった。

 ただ、その頬が少し赤らんで見えたのは、夕刻が近づいていたせいか。
 それとも――。



「さて、そろそろ生徒会室行こう」
「あ、うん……」



 そうだ。
 璃斗には気になる女の子がいて、そのために副会長になったことを以前聞いた。
 その子の正体が秘密だという璃斗に、由良の心は再びざわつき。

 なんとも言えない、複雑な感情が生まれてきた。