父の大好きなビールを買いに、コンビニへ行っていた仲の良い両親。
 生徒会で帰りの遅い由良も帰宅して、少し遅くなった夕飯の時間がはじまる。

 食卓に並ぶ煮込みハンバーグを囲んで、三人で食事を進めていた時。



(そういえば、お父さんがヴァンパイアになった理由って聞いたことなかった)



 生まれた時からヴァンパイアだった母と、生まれた時は普通の人間だった父。
 それがどうして、ヴァンパイア同士の夫婦となったのか――。

 煮込みハンバーグを一口パクリと頬張った由良が、ふと思っていると。
 その想いが通じたのか、たまたまか。
 静かに食事をしていた母が、向かいに座る由良に声をかけた。



「……由良にも話す時が来たのかな」
「え?」
「あなた、他人と関わらないから遅くても問題ないと思っていたけれど」



 そう言って隣に座る父に視線を向けて、同意を求める。
 すると少し渋い顔をした父だったが、先ほど買ってきた缶ビールを一口飲んで小さく頷いた。



「お母さん、話って何の……?」
「知っていた方がいいことよ、ヴァンパイアの血を引く者として……」
「っ……」