「お、お父さんとお母さん⁉︎」
突然の両親登場に驚きを隠せない璃斗は、
由良と両親の顔を交互に見たのち、深々と頭を下げて挨拶をした。
「由良さんと同じ学年の有川璃斗です! よ、夜道は危ないと思って……」
「まあ、それで家まで送ってくれたのね? ありがとう」
愛娘の由良を心配して自宅まで送り届けてくれた男の子。
由良の母はそんな璃斗を第一印象だけで気に入り、優しい笑顔でお礼を述べた。
しかし隣に佇む由良の父は、
まだまだ尋ねたいことがたくさんある様子で視線を向けたまま固まる。
それに気づいた由良が、一歩前に出て説明をはじめた。
「あのね、璃斗くんは同じ生徒会の副会長でお世話になっていて」
「それはそれは、由良がいつもお世話になっております」
「そんな、俺の方がいつもお世話になっています……」
由良の母がペコリと頭を下げると、つられて璃斗も再び頭を下げて言葉を交わす。
ただ微動だにしない隣の父には、流石の璃斗も緊張しているらしく。
なかなか目を合わせられずにいた。