「私のお願い、聞いてくれる?」


お母さんとお父さんが明かり一つしかついてない湿ったリビングで佇んでいる。


「なんだい」


少し間が空いたとき。


「殺して」


何を言っているの?


お母さんとお父さんの声が鮮明に耳に入ってくる。


「そっか、辛い思いをさせてすまなかった。じゃあ、一緒に死のう」


怖い。怖いよっ。


逃げなきゃ、声を出さなきゃ。


でも声なんてでなかった。
急いで部屋へと向かう。


いやだ。嫌だ嫌だ嫌だ、怖いよ、お兄ちゃん。


朝目が覚めるとリビングには、手紙と地面に横たわっている両親の姿があった。


「‥‥ずは‥‥‥ゆずは?」