「あのっ……さっきは助けてくれてありがとうございましたっ」


 わたしがぺこりと頭をさげると、照れた様子で頭をかく東条くん。


「別に、たいしたことしてないし。お礼なんて言いにこなくてよかったのに。ま、でも元気そうな顔見れて安心したわ」


 そう言って、東条くんがあどけなさの残る太陽みたいな笑顔を浮かべた。

 キラキラまぶしいくらい。

 なんだか、昔好きだった南くんに雰囲気が似ている気がする。


 ……そう、ただ似てるだけ。この人は、東条蒼空くん。南くんじゃない。

 それに、この人がもし南くんだとしたら、わたしのことを怖がって近づかないはず。でしょ?

 第一、もう人間を好きになったりしないって、あのとき決めたんだから。

 だから、この人が南くんでも東条くんでも、わたしには関係ないんだ。


「あのさ、西宮……」

「そーらくんっ」

 わたしに話しかけようと口を開きかけた東条くんの右腕に、小柄でかわいらしい女の子がきゅっと抱きついた。


「二人でなに話してるのー?」


 ボブヘアを揺らしてわたしを見あげる女の子の目が、『あたしのに手を出さないでくれる?』って牽制してくる。