「……うん。いいよ」

「ほんと?」


 僕がうなずくと、朱里の顔がぱぁっと明るく輝いた。

 だけど、僕の胸は罪悪感でいっぱいだった。


 だって、明日の朝には、僕はこの家を出ていかなくちゃいけないってわかっていたから。


 お父さんとお母さんが離婚するんだって。

 結婚しても、ずっと一緒にいられないってこともあるんだって、僕は知っちゃったんだ。


 だけど——だからこそ、僕も願いたかったんだ。

 朱里とずっと一緒にいられますようにって。


 僕のワガママで、ごめんね。


 だけど、いつかきっと朱里のこと、必ず迎えにくるって約束するから。

 だから、それまで僕のこと、ちゃんと待ってて——。