「でさ。まあ……改めて言うのもなんだけどさ」


 口ごもる蒼空くんに、突然不安が押し寄せてくる。


「な、なあに?」


 まさか、またお引越ししちゃうって話じゃ……ないよね?


 わたしは、顔をうつむかせると、ぎゅっと両手を握りしめた。


「——俺と、付き合ってくれる?」


 そっと顔をあげると、蒼空くんの顔が、耳まで真っ赤になっていた。


 本当に? わたしでいいの?


「蒼空くん、わたし……半分ヴァンパイアなんだよ?」


 震える声でそう告げると、蒼空くんは口元に手を当ててクスクス笑いだした。


「そんなこと、11年前から知ってる。そんな朱里のことがずーっと大好きなんだよ、俺は」


                       
 (了)