わたしはまだ見たことがないんだけど、ヴァンパイアが死ぬと、塵になって消えちゃうんだって。


 ——じゃあ、半分ヴァンパイアのわたしはどうなっちゃうんだろ?


 怖いから、あんまり考えないようにしてるけど、それでもたまに考えちゃうんだよね。


「殺すだなんて。本当に莉愛は野蛮だね」


 言葉とは裏腹に、なんだか楽しそうに言いながら白都くんがやってきた。


 うぅっ、やっぱり人間とはちょっと感覚がちがうみたい。


「あたしは本能に素直なだけなんですー」


 莉愛ちゃんが、不服そうに口を尖らせている。


「でも、優しい朱里ちゃんはそんなことしないよね? そうだ、おもしろい本を手に入れたんだけど、今度僕のうちに遊びにこない?」


 莉愛ちゃんが、わたしと白都くんの様子を探るようにじーっと見つめてくる。


 あんまり気は進まないけど……でも、ここは白都くんのお誘いに乗っておいた方が、莉愛ちゃんの疑いを晴らすためにもいいような気がする。


「えー、おもしろい本? それは気になる。でも、本当にお邪魔してもいいの?」

「うん、もちろん。朱里ちゃんなら、いつでも大歓迎だよ」


 うれしそうに笑う白都くんに、わたしの胸は罪悪感でズキズキした。