ヴァンパイアは、元々恋多き種族だって言われてる。

 昔は手当たり次第に異性の血を飲み漁るヴァンパイアがいて、それでこんなふうに肩身の狭い思いをするようになったんだって。


 つまりわたしにも、そういう血が半分流れてるってこと。

 だから、東条くんにもこんなふうに惹かれてしまうの?

 南くん以外の人にこんなふうに惹かれるなんて、なんだか自分がけがらわしい存在になってしまったみたいで、そんな自分が気持ち悪い。


 ……そうだよ。東条くんはきっと莉愛ちゃんと『契約』しているにちがいない。

 だから、こんなことを考えたって時間のムダムダ。

 もう東条くんのことは考えないようにしなくっちゃ。


 ふぅーっと細く長く息を吸って吐いてって繰り返していたら、だんだん心が落ち着いてきた。


 うん。もう大丈夫。

 さあ、帰ろ。


 今日の晩ご飯はなんだろう?

 お母さんの作るご飯は、なんでもおいしいんだよね。


 できるだけ東条くんから遠いことで頭の中をいっぱいにしたまま、わたしは校門を出た。