カラカラカラカラ……。


 そっと図書室の扉を開けると、奥の方から話し声が聞こえてきた。

 一人は白都くんで、もう一人は……知らない女の人っぽい。


「今日もありがと。愛してるよ」

「わたしも愛してる。またいつでも言ってね、白都くん」


 なんだかふわふわした足取りで、奥から一人の女子が歩いてきた。

 上履きの色からすると、2年生?


 わたしがぼーっと入り口の近くに突っ立っているのにもまったく気付く様子もなくすーっと横を通りすぎると、そのまま図書室を出ていった。


「ああ、朱里ちゃん。来てたんだね。ごめんね、おまたせ」


 しばらくすると、いつもとなにも変わらない様子の白都くんが、奥から姿を現した。


「えっと……」


 さっきのは、白都くんの彼女さん……だよね?

 来ちゃいけないところに来ちゃったみたいで、ものすごく気まずいよ……。


「ご、ごめんね。だ、誰にも言わないからっ」

「うん? ああ、今の子? 気にしないで。僕のただの『契約者』だから」


 つまり今、先輩の血を……ってこと?