☆☆☆

重たい鏡を運び終わった後は少しだけ汗をかいていた。
それは動いたせいだけじゃなくて、冷や汗も混ざっていたと思う。

二人はまたコテージへ戻ると、今度は明るいアニメ映画を見始めた。
少しでも雰囲気を変えるためだ。

陽気な音楽と楽しい映画の内容にだんだんと気持ちも落ち着いてくる。
さっき鏡の中に見えた女の子はきっと幻覚で、勘違いだったんだ。

あんなメモを見てしまったし、隣のコテージから出てきた子どもたちを見たから、妙な連想をしてしまったに違いない。
アニメ映画を見終わるころには、ふたりともそう考えるくらい余裕ができていた。


「そろそろお風呂に入ろうか」


映画を見終わったころには外は随分と太陽が傾いてきていた。
普段ならまだまだ外で遊んでいる時間だったけれど、今日は旅の疲れもあってふたりとも早く休憩したかった。

亜希がお風呂場を覗いてみると、そこには少し小ぶりな浴室があった。
清潔感がある浴室にホッと安堵のため息を吐き出す。