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窓辺に置かれている鏡に近づとなんだか嫌な感じがした。
ここへ来たときにはなにも感じなかったけれど、あの妙なメモを発見してしまったせいで、変に意識してしまう。

近づくのも、触れるのもなんだか怖い。
そう思っていたのは亜希だけではなかったようで、和也も鏡を前にして動けずにいた。


「なんか、怖いよな」


苦笑いを浮かべて言う和也に亜希は頷く。


「あんまり触りたくないよね」


けれど、このままずっとリビングに置いておくのも嫌だった。
この部屋にいる間中、ずっとこの鏡を意識していることになってしまう。

仕方なく、二人は鏡に近づいて左右から持ち上げることにした。


「あれ、思ったよりも重たいな」


二人がかりなら簡単に持ち上げることができると思っていたけれど、和也は顔をしかめた。
その鏡は思ったよりも重厚感があり、左右から持ち上げようとしてもなかなかうまくいかない。

ずずっずずっと床をこするように移動していく。
だけどそうするとフローリング部分が傷つきそうで怖かった。