両手には荷物を抱えているから、今から帰るんだろう。
亜希が家族の様子をぼんやりと見つめていると、母親らしき人と視線がぶつかった。

亜希は慌てて笑顔を浮かべて会釈する。
女性も同じように頭を下げて、荷物を車に積み込んでいく。


「なにボーッとしてるんだよ、早く鏡を移動しよう」


和也に言われて、亜希はまた歩き出したのだった。