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それから5分後、ふたりが宿泊している部屋のチャイムが鳴った。
再開していたゲームを中断してふたりで出ると、透子のおじさんが倉庫の鍵を持ってきてくれていた。


「鍵はまた取りに来るから」


おじさんはそう言って忙しそうに立ち去ってしまった。
ここまで来たなら倉庫まで運んでくれればいいのに。
亜希は内心そう思ったけれど、忙しそうなおじさんを見るとなにも言えなかった。


「先に倉庫の中を見てみようか」


そう提案したのは和也だった。
倉庫の中には貸し出し用の遊び道具とかが入っていると言っていたことを思い出して、興味が湧いたのだ。
ふたりはコテージから出て広い庭を突っ切り、小屋のような形をした倉庫へむかった。

亜希が倉庫の鍵を開けてドアを開いてみると、そこにはバスケットボールや縄跳び、テニスのラケットなどが詰め込まれていた。
近くに川や湖があるのか、夏に来た時にも遊べるような浮き輪や救命ジャケットもある。

けれど倉庫の中には若干のスペースが空いていて、そこになら鏡を置くことができそうだ。
倉庫を確認して部屋へ戻ろうとしたとき、隣のコテージから人が出てくるのが見えた。
そこに宿泊していたのは4人家族みたいで、大人の男女と、女の子が楽しげに話しながら車へ向かっている。