桐山は右脚を庇う歩き方で、トイレへと向かう。

不意に目眩を覚え、壁に手をつき体を支えた。すぐ脇にはトイレのドアノブがある。一瞬ドアノブがグニャリと歪んで見えた。

なんだ?今のは!?

桐山はぼやけた目を手の甲でこすった。ふと部屋を見渡すと、明らかに変だった!なにもかもが歪んで見えるではないか!?

貧血?

一瞬そう思ったが、そんなレベルでな無かった!

室内の空間が実際に歪んでいる感覚。

桐山は壁に背中を押し当てながら、ゆっくりと床に座り込んだ。

「いったいなんなんだよ?」

異変は続いている!何かが部屋の真ん中で渦巻いている!

キーンと耳鳴りがする!

桐山は両耳を押さえながら部屋の中心を凝視した。

次の瞬間!
いきなり凄まじい閃光が桐山の目を襲った!

「うわっ!」

桐山は今度は両手で目を庇った。

目を固く閉じ、両手で目を覆っていても、凄まじい光が感じられる程だ。

得体の知れない何かがいる!

桐山は体を硬直させながら、小刻みに震えている。

経験した事の無い恐怖心。未知の何物かに対する怯えだ。