誤作動は全て深夜に発生している。

注目すべきは、誤作動が起きた時刻から数分間、防犯カメラが停止している事だ。

誤作動が生じたのは、どの銀行も金庫室のみだ。防犯カメラも同様だった。

犯人はそれ以外のセキュリティーや防犯カメラをクリアしている事になるのだが、金庫室では、赤外線センサーに引っかかり、防犯カメラに何らかの細工をしている。

黒沢は、唯一そこに、謎を解く鍵があるように感じだ。

物事には全て理由がある。

しかし

侵入の形跡すら残さずに、銀行の金庫室に侵入し、大量の札束を短時間で持ち去るなど、はたして可能なのか?

まさに前代未聞の怪事件である。

犯人は並ならぬテクノロジーを持っている事になるのだが、肝心の詰めの段階で赤外線センサーに触れている。しかも、金庫室内に設置された防犯カメラのみに細工をしている。その他のセキュリティーは全て完璧にクリアしているにむ関わらずだ。

なぜだ?

そもそも、金庫室への侵入自体が不可能な筈だ。

仮に事前に金庫室に潜んでいたとしても、タイムロックは解除出来ない。