車や家。オーダーメイドの衣類や靴などは、金を払い、正当な手段で購入するしかないし、高級ホテルの支払いなどは、やはり現金で清算したが、金を得た手段自体は正当性がない。

アイテムを収納している状態の桐山は、人間離れした運動能力を発揮出来る事も分かったが、まだ全容は把握出来ていない。謎の男サンタクロースは、桐山は無敵と表現したが、さすがに、ビルの屋上から飛び降りたり、ダンプカーと正面衝突したりする気にはなれなかった。

アイテムは現在、ドレッサーの上に置いてある。収納はしていない。

桐山は高級ワインの心地良さを堪能しながら、ドレッサーの上のアイテムに視線を合わせた。距離は3メートル程だ。

(収納)と念じると、ドレッサーの上からアイテムが消える。

それと同時に、心地良いワインの酔いが一気に醒めた。

唯一不便と感じた機能である。

アイテムを収納している状態の桐山は、アルコールの影響を受けない体になってしまう。

おそらく、あらゆる毒物を摂取しても平気に思われたが、試す気にはなれなかった。

桐山は再びアイテムを取り出すと、ドレッサーの上に置き、再びワインを口に含む。