数日後。桐山は都心のホテルにいた。

38階の窓辺から見下ろす夜景は素晴らしい。

アイテムの検証は順調だったが、残数はまだ充分にある。

桐山はこの数日間。絶対に捕まる事の無い泥棒に成り下がっていた。

少し知恵を絞れば、金はいくらでも手に入る。

アイテムを使えば、銀行の金庫の分厚い扉を、音もなく消し、一瞬で修復出来た。防犯カメラを破壊してから金を持ち去り、破壊したカメラを修復すればいい。
一度侵入した金庫室ならば、次からは一瞬で入れた。体はその都度透明化し、カメラを破壊してから作業をした。カメラをそのままにすると、札束が宙を舞って消える瞬間が撮影されてしまうからだ。桐山は指紋は一切残さないように、両手足の指に透明な塗料を塗ってから作業をした。

桐山のアパートの狭い押し入れは、びっしりと札束で埋められていた。

数えてはいないが、数十億はある。

欲しい物は何でも手に入し、物を買うのに現金は殆ど不要だったが、例外はある。