そう思った瞬間!

頭の中にビジョンが現れた。アイテムのスクリーン画面と同じビジョンが、肉眼ではなく、脳内のイメージとして認識出来たのだ。

『残998回』

減っていない。

桐山はアイテムを知っている。

記憶は高校生の頃に遡る。

桐山は子供の頃からメカが大好きで、様々なメカを空想する事が多かった。その殆どが、荒唐無稽でSF的なメカだった。水陸空を自由に駆け巡るマシンや、どんな命令にも逆らわないアンドロイドなど、様々な空想のメカを頭の中で創った。そんな頃に空想したメカの一つに、人や物を壊したり治したりできる銃があった。桐山は、更に別の機能を付加していた。それは、体を透明に出来る機能と、瞬間移動が出来る機能だった。

(できるのだろうか?)

桐山は試してみようと思った。

まずは頭で念じてみた。

特に変化は無かったが、桐山は自分の手が無い事に気付いて愕然とした!

無いのではなく、見えないのだ!

パジャマの部分しか見えないではないか!

桐山は洗面台へ急いだ。洗面台の鏡には、パジャマしか映っていない。

『なんて事だ…』

桐山は残を頭で確認した。減ってはいなかった。